以前の関連記事

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PBOC引締め(3)インターバンク狙い撃ち : 金利とセンチメントから資産価格を考えるブログ

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PBOC引き締め(4) 中国不動産バブルの沈静化 : 金利とセンチメントから資産価格を考えるブログ

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 前回の記事で見てきたように、中国の不動産市場はバブル潰しの金融引き締め及び購買制限により盛り下がっている。価格上昇が鈍り、販売のペースもどんどん減速しているため、不動産投資も盛り下がっており、重厚長大産業に影響を及ぼしている。 

鉱工業生産と固定資産投資は減速


China Industrial Production
 
China Fixed Asset Investment 
 8月の鉱工業生産は前年比6%増と、やや大きめな減速。鉱工業生産と固定資産投資は2017年初頭をピークに緩やかな減速が続いている。固定資産投資は1-8月の前年比で+7.8%と、1999年以来で初めて前年比+8%を割り込んだ。これは明らかに2016年中だけ盛り上がっていた形となる不動産投資の減速に連動している。PPIもそれらに沿う形で2017年年初から減速しているが、こちらだけは夏以降も盛り返しており、デフレ懸念はなさそうの図。もっとも、上の二つの減速が止まらないことから、これは需要側が盛り上がっているのではなく供給能力がサプライサイド改革で削られた結果であると言われる。

"Today’s data are indeed below our expectations. It shows that China’s domestic demand may not be as strong as previous economic indicators suggest,” said Tommy Xie, an economist at OCBC.
Recent gains in commodities prices and industrial inflation weren’t a result of stronger demand, but reduced supplies, Mr. Xie said."

China's Industrial Engine Revenue Down

China posted a surprise slowdown in business activity in August, a sign that rising borrowing costs and property restrictions are having a more severe effect on the economy than expected. Value-added industrial output, a rough proxy for economic growth, slowed for a second straight month, rising 6.0% in August, compared with a 6.4% increase in July, the National Bureau of Statistics said Thursday.

景況感と粗鋼生産は堅調


Iron
Railqay

 一方、製造業景況感は改善しており、景況感と実際のアウトプットの乖離がやや判断を迷わせる。鉄道輸送量は高止まりしているため李克強指数も堅調だが、こちらは積荷がどうせ石炭が中心なので粗鋼生産量の増加と整合的。主な需要である不動産投資が減速しているため、今後はこちらも減速が見込まれ、むしろ今増産されている粗鋼の行方がやや気になる。

 いずれにしても、10月の共産党大会後に公共投資がブーストするとも考えづらいため、中国のGDP成長の今回の波は夏場の6.9で頭打ちになると思われる。元より政府のターゲットは6.5である。いつものごとく内需は旺盛だが、重厚長大産業とは別世界である。書き始めた時から、米国の景況感を中国の重厚長大産業から占うのがこのブログの重要なテーマの一つである。

はじめに・全体像 : 金利とセンチメントから資産価格を考えるブログ

はじめに、世界経済の現状を確認するために4枚のチャートを載せよう。  上からそれぞれ、   米国のISM製造業景況指数   中国のCAIXIN製造業PMI   米国のインフレ期待を表す10年ブレークイーブン   S&P 500 である。これを見ると、米国景気は2015年末から2016年初

参考リポート

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大和総研グループ / 中国:党大会後に成長率は大きく下がる?

中国では、「5年に1度の党大会が開催される年は、成長率が高くなる」と言われる。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。