Saudi Arabia's McKinsey reshuffle

Saudi Arabians woke up over the weekend to a once-in-a-decade cabinet reshuffle. It may come as a surprise to many Saudis that the origin of this reshuffle-and indeed the Kingdom's new economic direction-finds its impetus in a report by the global management consulting firm McKinsey & Company.

McKinsey scores as Saudis call in consultants for economy reboot

Dubai: At the entrance to the usually quiet Al Khozama Center in the heart of Riyadh, a new security checkpoint has been installed. A guard stops visitors to ask, "which ministry are you with?" Inside, the lobby is full of Saudis in traditional dress and expatriates in suits and ties, working on laptops and holding impromptu strategy meetings on large leather sofas.

 
 サウジアラビアが何やら忙しく動き出したと思えば、元々はマッキンゼーを始めとする海外コンサルティング会社のレポートに、ビン・サルマン王子が飛びついたのが始まりのようだ。2014年以降の原油急落で焦り出したサウジアラビア政府が生き残りを賭けてコンサルティング・ファームに支払っているフィーは2016年時点で年間13億ドルまで増えている。

 アラムコの上場により手に入れた財源で失業率を引き下げ、民間企業の役割拡大、また石油以外からの収入の増加を目指す。"Saudi Arabia’s Vision 2030"の一つ一つ取ってみるとそれぞれ悪い話ではないが、コンサルにありがちな風呂敷を広げただけの感もあり、悪く言えば机上の空論だ。本気で脱原油した大国になるには教育に力を入れ、地道に工業化を進める以外に道はない。工業化はだるいし資本を食うため、金融やハイテクといった飛び道具を頼る風潮がサウジアラビアに限らずあるが、それで長期にわたって上手く行った試しがない。

 全ての国にはそれぞれの伝統、文化、環境の違いがあり、それを無視して「海外のイケてるアイデアをそっくり取り入れる」ことだけをやっていると、いつか矛盾が噴出する可能性がある。中でも、最もやってはならないのは、内側で敵を作るような大改革、大手術をしている間に対外的に好戦的となり、外でも敵を作ることだ。特段保守的でもない王族の粛清、カタールとの断交騒ぎ、さらにイエメン内戦への介入を改革と同時に行う必要があったのか。この危うさは、昔の宗主国のオスマン帝国を思い出させる。
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 欧米が産業革命に入ると、最も欧州に近いアジアの大帝国であるオスマン・トルコはどんどん列強に押されるようになった。財政難、政治の腐敗や軍隊の弱体化は進む一方で、戦えば必ず負け、20世紀初頭にはどの列強でも自由にオスマン帝国にちょっかいを出せるようになった。そこで危機感を持った官僚、将校、医師などからなる「青年トルコ人」運動が日露戦争に鼓舞される形でクーデターに成功(青年トルコ革命)し、専制的な君主を廃位してドイツなどから顧問を雇って急進的な近代化、西欧化に取り掛かった。しかし、結果としてこの近代化が命取りとなる。タラート・パシャ(第一次世界大戦開戦時40歳)、エンヴェル・パシャ(同33歳)、ジェマル・パシャ(同42歳)という若い優秀な指導者たちの三頭政治の下、オスマン帝国は同盟国の一員として第一次世界大戦に参戦した。

 第一次世界大戦ではドイツ人顧問により訓練され、精力的な若い指導者たちに指揮されたオスマン帝国軍は、かつての弱兵の印象を一掃する善戦ぶりを見せた。ガリポリの戦いでは英仏海軍の戦艦を4隻も沈め、連合軍に対して完勝を収めた。しかし、それでも同盟軍の敗戦と共に帝国は解体されて今のトルコのみが残った。その後1920年代には旧オスマン帝国領のイラク、1930年代にはサウジアラビアでそれぞれ大油田が発見された。もし青年トルコ革命が成功せず第一次世界大戦をやり過ごし、腐敗した専制国家のままあと20年燻り続ければオスマン帝国は世界一の資源国になったはずだ。急進的な改革は常に善ではない。

 今のサウジアラビア情勢に関しては、あまり安心できないものの特段破壊的なイベントのきっかけになるとも思えず、また実際にイベントが起きるまで市場は動かないため、この話は思考実験の域を出るものではない。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。