5月末にイタリア国債が激しい下落(金利上昇)に見舞われた。そこでやはり心配となるのは毎回債券のクラッシュに巻き込まれる本邦投資家である。米国が利上げに突き進む中、欧州の正常化が遅くなりそうなこと、また米国よりカーブがスティープで為替ヘッジ後のリターンが高いことから、多くの本邦投資家はここ数年で米国債から欧州国債にシフトしてきた。その中でさらに、マイナス利回りのドイツより少しでも利回りが取れる南欧国債を買い越してきた。図は本邦勢のドイツ国債とイタリア国債の買い越し額推移の差である。
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 これは金融機関の担当者たちがまた下手こいたという話ではなく、ある意味必然の流れでもある。日本国債はインカム収入ごと日本銀行が市場参加者から収奪している。その結果、投資資金は以前よりもクオリティの悪い資産を以前と同じ利回りで購入しなければならなくなった。その中の一つが値動きの激しい海外国債であり、必然的に金利リスクやクレジットリスクが火を噴く。米国債から離れて欧州に向かった一因に金融庁に「米国債投資」ビジネスについて睨まれていたことも挙げられよう。日銀に円債市場から追い出され、金融庁に米国債から追い立てられ、辿りついたのが南欧国債という崖であった。全部異次元金融緩和のせいだ。

 なお、プロ中のプロであるはずの債券王ビル・グロースのファンドもドイツ国債ショート・イタリア国債ロングで資産を吹き飛ばしており、特に本邦の投資家が目立ってセンスがなかったわけではない。またイタリアのユーロ離脱はなさそうなので、長期はともかく短期債などは満期まで耐えればなんとかなるのではないかと思われる。

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