金利とセンチメントから資産価格を考えるブログ

毎朝更新の予定。主に日米金利、ドル円、先進国株インデックスについて。視点は経済指標、地政学、センチメント、需給、テクニカルなどもろもろ。@shenmacro

タグ:VIX

 昨日の記事で触れたVIX急騰事件は、VIXを参照した投資のロスカットを狙ったものなので、株式現物市場から切り離されたVIX界のコップの中の嵐で終わるはずだった。しかし、結果的にVIXの急上昇は株式指数にも大きなフィードバックをもたらしており、持ち上げられたVIXが株式指数の急落を招いたためいわば自己実現している。VIX界と現物界の間に架け橋が存在したからだ。リスクパリティと呼ばれる運用戦略が、VIXが上昇すると株式をぶん投げるのである。

 リスクパリティはリーマンショック後に脚光を浴び始め、近年最も成功したファンドの一つとすら言われている。ところが今回、こちらの日経の記事ではリスクパリティファンドを「変動指数に火を付けられた19兆円の爆薬庫」と名指ししている。また、リスクパリティファンドがあのリーマンショック以来悪名高いCTAと共に「2000億ドルの世界株を売却する過程にある」などと言われており、すっかり株式指数下落の戦犯という扱いになっている。

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    ゴルディロックだったはずの株式相場が急に荒れ出している。この裏で、デリバティブを裏付けとした一部の投資商品は断崖のようなチャートを描き、投資家は1日にして元本の95%以上を失っている。悩んだり胃が痛くなる暇もなかった。
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クレディ・スイスが組成するXIVの推移。
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Fear & Greed Index - Investor Sentiment - CNNMoney

Fear & Greed is CNNMoney's investor sentiment tool that comprises of 7 markets indicators.

バフェットの格言

 CNNMoneyが計算している恐怖強欲指数(Fear & Greed Index)が最近話題になっている。ブルベア指数は
  "Be Fearful When Others Are Greedy and Greedy When Others Are Fearful"
  (他人が貪欲になっている時は臆病に、他人が臆病になっている時は貪欲に)

というウォーレン・バフェットの格言を根拠に、悲観的なら買い、楽観的なら売り、という逆張り的な使われ方をすることが多いし、CNNのWebサイトもこの格言に触れているが、この手の指数には何種類かあり、全てのものが「他人が貪欲/臆病」であることを示すとは限らないことに注意が必要である。

CNN恐怖強欲指数の算出方法

 データの中身を見ずに利用するのはリスクが高い。CNNのブルベア指数の構成はWebページで示される通り、以下の7種類のデータの単純平均である。

Stock Price Momentum: The S&P 500 (SPX) versus its 125-day moving average
(SPXの125日平均からの乖離) 
Stock Price Strength: The number of stocks hitting 52-week highs and lows on the New York Stock Exchange
(ニューヨーク市場で52週間高値銘柄と安値銘柄の数の差) 
Stock Price Breadth: The volume of shares trading in stocks on the rise versus those declining.
(上昇株の取引量と下落株の取引量の差)
Put and Call Options: The put/call ratio, which compares the trading volume of bullish call options relative to the trading volume of bearish put options
(オプションのプットコールレシオ) 
Junk Bond Demand: The spread between yields on investment grade bonds and junk bonds
(ハイイールド債と投資適格債のスプレッド) 
Market Volatility: The VIX (VIX), which measures volatility
(VIX) 
Safe Haven Demand: The difference in returns for stocks versus Treasuries
(株の配当利回りと米国債の配当利回りの差)


 一個一個見ていくとこれらは、今の市場のセンチメントを描くというよりも、市場の値動きを描いているにすぎない。S&P 500の125日平均から上方乖離したら売るべきなのか。VIXが50日平均から上に飛んだら株を買うべきなのか。ハイイールド債が売られたら株を買うべきなのか。分解してみると途端に逆張りしたくなくなった人は多いではないか。

CNNブルベア指数のバックテスト

CNNvsSPX
 実際、CNNMoneyのWebサイトに載っている過去3年分の恐怖強欲指数の推移とS&P 500のチャートを並べてみると、多少の感応度のばらつきがあるにしろ、基本的にS&P 500の反転を予知するものではなく、むしろほぼS&P 500をなぞったようなチャートとなっている。2015年7月のチャイナショック前に恐怖強欲指数の低下を見てS&P 500を買うべきだったか。2016年年末のトランプラリー初動時の80%代を見て売るべきだったか。恐怖強欲指数の逆張りはただの値動きの逆張りに見える。

本家逆指標

米国株式ブルベア指数は最近、どうなっている? : Market Hack

米国の投資家のセンチメントの指標のひとつに ブルベア指数というのがあります。これは1963年から続いているもので、 米国の機関投資家が最も参考にする指数 です。 この指数は インベスターズ・インテリジェンス社 が出しています。 ブルベア指数は全米の 独立系ニュースレターの「強気」、「弱気」を集計したもの ...

 元々逆指標としてのブルベア指数を日本語圏の個人投資家に広めたのはMarket Hackだと思われるが、こちらはニュースレターの見方としての強気・弱気を集計したものを使っている。アンケートの方が人間のセンチメントそのものを直接的に表現している。人に説明できるくらい理由がわかりきっている、また人々の意見が一致しているトレンドはもう終わるというカラクリもあるだろう。残念ながら筆者の検索能力と財力ではInvestors Intelligence発表の最新のブルベア指数にたどり着けなかったが、こちらはMarket Hackの紹介通り、逆張り指標として有用ではなかろうか。似たような有用な逆張り指標は靴磨きの少年の話が有名だが、多くのアナリストが同じ方向を予想する、機関投資家の偉い人がニュースを気にし出す、などがある。

 なお、この記事をこのタイミングで書いたのは、金曜にCNN恐怖強欲指数が17%という安値を付けたのを受けてのものではなく、安値だから反発しそうという見方を否定するためでもなく、あくまでも一般論としてあまりインプリケーションがないように見えたと言いたいだけである。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。

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